松本すみ子の「定年準備講座」
 

第23回 定年後に初めて行く旅 <その2>           2006年8月29日
 〜妻の喜ぶ顔が見られる旅〜

 
*このエッセイは、日経BP「団塊世代のための定年準備講座」に掲載したものです。
 

 前回は,「自分を取り戻す一人旅」,団塊世代ならではの「テーマや体験にこだわる旅」を紹介した。どちらかというと,夫がこだわっている旅だった。

 今回は,妻が好みそうなロケーションや夫としての気配りをアピールできる旅を中心に選んでみた。今まで以上に密度濃い人生を共に歩む妻との絆を深めるには絶好の機会である。前回同様、旅の指南役・本多美也子さんから推薦いただいた旅を交えて構成してみた。

第6章 二人でのんびりできる旅  アマンリゾートでセレブ気分

 豪華な気分を味わえる旅のモデルといったら,アマンリゾート。世界に17カ所あり,それぞれが地域の特色を活かしたファシリティと優れたホスピタリティを提供している。この際,2度目の新婚旅行気分で,極上リゾートを楽しむのはいかがだろうか。

 特におすすめなのがインドネシアだ。バリ島に3つ,ジャワとモヨ島に1つずつのアマンがある。それを2泊ずつして巡ると,それぞれの良さを体験できる上,疲れないでアマンの良さを満喫できる。日本人スタッフも常駐しているので安心。最初のホテルに着いたら,後のスケジュール,チケットの手配など,すべてお任せ。海外旅行に不慣れな夫婦でも安心だ。

 広大な敷地にプライバシーを重視した作りになっているので,部屋に籠もってしまえば,他の客と会うこともない。籠もるといっても,狭い日本の宿とは違って,各部屋にプールやバレ(あずまや)があって開放感もこの上ない。ホテル主催のツアーも充実しているのでそれを利用するのもいい。もちろん,女こころをくすぐるエステなどのサービスもある。

 ただし,バリ島の3施設は日本人の団体ツアーがお茶や食事に来るので,やや騒々しい時間帯があることはいなめない。本多さんは,ブータンに出来たアマンコラに一度泊まってみたいとか。7日間でブータンをめぐるツアーをやっているそうだ。

第7章 湯布院で豪華,大人の湯治

 国内の滞在で満足感の高い旅なら,やはり湯布院だろうか。湯布院の町自体は馬車が通っていたり,メルヘンチックな街並みになったりしているが,お湯と宿は抜群にいい。知名度が高いので,後から皆で話題にして盛り上がるにも,もってこいの場所だ。由布岳を望む景観も雄大で,本州にはない空の明るさ,開放感にひたれる。

 亀の井別荘玉の湯山荘無量塔など,上質な和風モダンな宿があり,料理,寝具,図書室などハード面の質も東京の高級ホテル並み。ホスピタリティもよく,細かな気配りがある。

 たとえば,1週間のんびりと湯治をしたいといえば,昼食の用意や,夜のバーの紹介,散策コースへの案内などをしてくれる。部屋が広いので,夫婦がお互い,自分の時間と空間を持てるのもいい。田舎暮らし,いわゆる観光地の楽しみ,最上のホテルの癒しなどをまとめて体験できるのが湯布院の魅力だ。

第8章 この際,プレ・ロングステイ体験  スペイン,ちょっと足を伸ばしてポルトガル

 ロングステイに興味のある人は,候補地になりそうな場所を訪問するものいいのでは?ロングステイはアジアやハワイが人気だが,思い切ってヨーロッパはどうだろう。中でも,スペインはロングステイ先としても人気がある。

 まず気軽に観光で行ってチェックしておきたい。せっかくだから,ポルトガルまで足を伸ばそう。言うまでもなく,最大のチェックポイントは,ロケーションや生活環境だけでなく,妻の反応である。

 スペインポルトガルの2国は,ちょっと退廃的でルーズさが売り。日本にはない時間の過ごし方や価値観を味わえる。しかし,食事は魚介類,米料理が多く,味付けは海外の中でも最も日本人に合う。ちょっと泥臭い雰囲気が,洗練されたヨーロッパとは違って気楽だ。

スペインには,独自に開発した国営のホテル「パラドール」がある。スペイン各地に91カ所あり,建物は,もとは古城や旧領主の館,豪族の邸宅,修道院など。アットホームなサービスが売り。マドリード,バルセロナといった大都市のほかにも,アンダルシアのグラナダや逢坂剛の「カディスの赤い星」の舞台となった港湾都市のカディスなど,イスラム文化との融合や独自の芸術に出会え,観光は申し分ない。

 また,2006年はピカソ生誕125周年&「ゲルニカ」 スペイン返還25周年,日本にキリスト教を伝えた聖フランシスコ・ザビエルの生誕500年と,日本人にも馴染みのあるイベントが続いた。両国は,ポートワインやシェリー酒の本場でもあり,そちらの楽しみもある。スペインではフラメンコ,ポルトガルではファド。魂を揺さぶられる音楽を堪能してほしい。

第9章 本多さんのロングステイ極意

 本田さんは,旅の取材で各地を訪問した経験から,ロングステイ先を選択する際の注意点を上げてくれた。

 「ハワイ,オーストラリア北部,カナダ西海岸沿岸などがおすすめです。英語が通じ,トラブルがあった時に対処できる環境で,治安が良いこと,温暖な気候で衣類など持ち物が少なくて済むこと,また,日本人が適度にいることも大切です。ただし,他の場所に比べて,滞在ビザ,住居費は高額になるので,資金的に余裕がある人向けになります」。

 また,「資金はあまりかけたくないなら,英語が通じること,邦人が多いことから,フィリピンがベスト。セブ島のコテージを借りるなどリゾート滞在もできます。最近は,タイ,インドネシア,マレーシアなど,アジア諸国が話題になっていますが,衛生面,医療設備などやや不安。また湿度が高い暑さに体力を消耗する人も多いようです」。

 「選択にあたっては,政情不安や宗教対立もあるので,国情をよく理解しておくことが重要です。東南アジアはロングステイよりも,リゾート目的で訪問するのがいいのではないでしょうか。いずれにしても,ロングステイには,語学を学ぶ,ボランティアをするなどの目的がないと,単にお金がかからない暮らしというだけで,先細りになってしまう恐れがあります」。

 それならば,無理をせずに,国内で古民家を借りる,別荘地で暮らす,田舎暮らしをするなど,国内のロングステイに目を向けた方がいいかもしれない。こんなサイトを参考に,十分研究してみよう。

 ・ペナンに暮らす リタイア夫婦の体験記

 ・フランスでロングステイする夫婦のブログ

 ・ロングステイ財団

第10章 “やっぱりパッケージツアーが楽”という人に  ダイナミックパッケージで自由に

 “旅慣れている団塊世代は,チケットもホテルも自分で手配するフリーツアーを選ぶ”とは,最近よく言われること。旅行社に聞くと,やはりパッケージツアーは以前のようには売れないそうだ。確かに,短期間で何カ国も駆け足で巡る従来型のツアーは,もう勘弁!である。

 そうした旅慣れたこだわり派に便利なサービスが出てきている。飛行機とホテルを自由に組み合わせて選べる「ダイナミックパッケージ」だ。エリア・都市,日程,人数,航空券のタイプ,部屋数などを入れて検索すれば,条件にあった航空会社とホテルを表示してくれる。航空会社とホテルがクロスした場所に価格が表示され,それぞれ比較できるという仕組みだ。

 たとえば,ドイツのハンブルグに赴任している子供夫婦を訪問して,帰りにパリに滞在するなどといった旅なら,これは便利に使える。

少し高めだが充実したパッケージという手も

しかし,旅にハプニングはつきものとはいえ,定年後初めての旅,しかも,妻を喜ばせたいと思って計画した旅行で失敗は禁物。語学に自信がない人なら,なおさらだ。また,旅行社も手を変え,品を変え,個人ではなかなかできにくく,今までなかったツアーも出してきている。

 そこで,無理せず,少し高めの充実した内容のパッケージツアーを選択するという手もある。私の周りには,旅行社のツアーをうまく活用して,せっせと外国にでかけている夫婦がたくさんいる。お土産などの荷物の配送などは旅行社にすべて任せて,お気軽旅行。ニコニコ顔でご帰還だ。いまさら,通を気取る必要はどこにもないのである。

 団塊世代大量定年に向けた旅行企画は,これからますますヒートアップするだろう。世界一周クルーズなど一部の高額商品は,すでに受付が始まっているが,本格的に発表されるのは,今年の秋以降だ。各旅行社のホームページや新聞などの広告を,こまめにチェックしておきたい。

 そうしたツアーでは,必ず事前の説明会が開催される。説明会も最近は,ただの旅行説明会ではなく,凝った催しとして開催することも多く,それだけでも楽しめる。夫婦二人で,参加してみよう。旅の楽しみは,二人でプランすることから始まるのだ。

(松本すみ子=アリア/シニアライフアドバイザー)

     
 

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