コラム『松本すみこのシニアライフ』 No.23

 

街にでしょううよ! タウンモビリティ

2017年2月28日

 
 

外出をサポートするタウンモビリティ

近くに商店がなくなった、体が不自由になった、一人では外出ができなくなったという人のために、買い物代行サービスが注目されています。それはとても有難いと思うのですが、でも、自分がそうなったら、どうなんだろうと考えてしまいます。

やはり、たまにはショッピングや観劇や友達とのおしゃべりで街に出たい、自分の目で見て好きなものを選びたいと思う人は多いのではないでしょうか。女性は特にそうです。いくつになっても、洋服もほしいし、美容院にも行きたい。

だから、送迎してくれるとか、一緒に出掛けてくれるサービスがあってもいいと思うのです。例えば、月に一度でも、家の近くからショッピングモールや百貨店の送迎バスが出て、買い物中もサポートしてくれるなんてことがあれば、財布の紐は緩みっぱなし。帰りの車は商品満載で間違いないと思うのですが。どうしてやらないのでしょうね。

外出をサポートするサービスといえば、「タウンモビリティ」という取り組みがあります。

ショッピングモール、商店街、街の中心部などが、歩行が不自由な高齢者や障害ある人たちに、電動三輪車、電動スクーター、電動車いすなどを無料で貸し出し、買い物だけでなく、街を散策する手段と環境を提供するものです。

もともとは1978年にイギリスのミルトンキーンズというニュータウンで始まった活動。日本でも導入する地域や商店街などが増えてきているようです。

ネットで「タウンモビリティ」を検索してみたら、福岡県久留米市、高知「ふくねこ」、宮城県仙台市長町一丁目商店街、広島県広島市佐伯区などの活動がヒットしました。
神戸、奈良県飛鳥地方、横浜市などでも取り組んでいるようです。
*個々の活動については、文末にURLを記載しましたので、ご覧ください。

1998年から全国に先駆けて開始した久留米市の活動紹介では、担当しているNPOの活動家が取り組みへの思いや意義、現状を語っています。

→ http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_chikugo/article/308899

「タウンモビリティ」は、単に、電動三輪車、電動スクーターなどの動く手段を提供すれば、それでうまくいくというわけでありません。久留米市の活動家が「手助けしてくれる人が街に増えればいい」と話しているように、その地域全体で、外出したいお年寄りや障害ある人をサポートするという意識を持つことができるかどうか、それが成功のカギだといえます。

ポルトガルで見かけたモビリティ

また、バリアフリー化を促進すればいいというわけでもありません。完全にバリアフリーの街を作るのは不可能です。どこかに必ず、周りの人の助けが必要な場所は出てきます。

完全バリアフリー化の街ができたとして、魅力ある街になるかは疑問です。ポルトガル旅行をしたとき、訪れたポルトの町は急な坂だらけでした。ポルト以外の都市のほとんども、バリアフリーとは無縁な魅力的な街並みでした。

「これじゃあ、車椅子の人は大変ね」と話し合ったものです。でも、だからといって、街をバリアフリー化しろと声高に主張する人はいないでしょう(いるかもしれませんが)。そんなことをしたら、町の魅力がなくなってしまうから。

魅力的だと思わない街に、人々は来ません。タウンモビリティへの取り組みに加えて、魅力的な街づくりや、そこに暮らす人たちの助けあう意識をどう高めることできるかは重要です。

そういえば、ポルトガルで、この小さな車はなんだろうと思って、写真に撮ったものがあります。これも、タウンモビリティだったのかもですね。

「バリアアリー」

このテーマで、もう一つ、思い出したことがありました。それは「バリアアリー」という考え方。「バリアアリー」とは「バリアが有ります」という意味です。意図的に施設に階段や段差などを作って、入居者のリハビリを積極的に行っているデイサービスセンターがあります。

それは『夢のみずうみ村』(http://www.yumenomizuumi.com/)。「どこにも手すりがあって、段差がない施設は、高齢者が自らがんばって、身体を回復させようとする意欲を奪ってしまうという考え方」を実践しているのです。確かに、回復の可能性があるなら、少しでも元に戻れるようにするのが本来の施設の役割でしょう。

団塊以降の世代は、このバリアアリー精神でセカンドライフを迎える必要があると思います。そして、いよいよ動きにくくなったら、文明の利器を大いに活用し、周りの人たちにもせいぜい助けてもらって、街に出ていきましょう。私たちはそうした素晴らしい時代に生きることのできる初めての世代です。

そして、いよいよ動けなくなったら、家事代行サービスでも、買い物代行サービスでもどんどん活用して、豊かな人生の幕引きを図る。人生はそう捨てたものではありません。

◆タウンモビリティに取り組んでいる地域の例

 ・福岡県久留米市
   http://www.kurume-mutsumon.info/town/
 ・宮城県仙台市長町一丁目商店街
   http://www.nagamachi1.com/townmobility/
 ・高知「ふくねこ」  
   http://fukuneko-k.com/
 ・広島県広島市佐伯区
   https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/6241.pdf
 ・全国のタウンモビリティ紹介サイト 
   http://www.c-haus.or.jp/townmobility/

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